平成29年度の研究では、ます前年度に問題となった検出器の放電問題に取り組んだ。石英ライトガイド両面のITO電極間に高電圧がかかることでテフロンとの境界に発生する沿面放電が原因であることを突き止め、石英の厚さやドリフト長を最適化することで解決した。 その結果として最大3kV/cm(国外グループの先行研究(1kV/cm以下)の高電場を検出器に印可することが可能となった。夏に行った液体アルゴン試験では0.2~3kV/cmに渡る広範囲の電場領域で、高統計・高品質のガンマ線及び中性子線キャリブレーションデータを取得した。 秋以降はこのデータの解析に注力し、検出器の背景事象除去能力およびそのエネルギー依存性・電場依存性を世界で初めて定量評価した。その結果、電離/蛍光比を用いた粒子識別能力が高電場下で向上することがわかった。この結果は現在学術論文として投稿中である。
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