研究課題/領域番号 |
16J07088
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
苗加 彰 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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キーワード | 中心子 / Bld10p / クラミドモナス |
研究実績の概要 |
中心子の普遍的な9回対称性構造の確立に働く新規要因の候補として、中心子の内腔に存在する中心子微小管間の架橋構造に着目し、その構成タンパク質と考えられるBld10pの機能解析のため、以下の2点について行った。 1.Bld10pの詳細な分子配置 Bld10pの免疫電子顕微鏡法による観察とBld10p部分配列発現株のクライオ電子線トモグラフィーによる架橋構造の3次元像の取得を行っている。免疫電子顕微鏡法については、N末端、中央部分、C末端のそれぞれにHAタグを付加したBld10pの発現株の樹立を完了し、一部観察を始めている。クライオ電子線トモグラフィーは、予備的な観察により、中心子がdensityの高い物質に覆われているために、コントラストが低くなることが判明したため、高電圧の電子顕微鏡を用いることにより、鮮明な画像を得ることに成功した。現在、共同研究者のスイスポールシェラー研究所の石川博士がそれらの画像を平均化するプログラムを作成している。 2.カートホイール非存在下におけるBld10p機能 Bld10p部分配列の発現により三連微小管間の距離は短くなるが、中心子微小管数への影響は軽微であり、微小管数の少なくなった中心子は10%程度しか観察されない。これは、カートホイールが存在しているためだと推察される。そこで、カートホイールを欠失するbld12変異株とBld10pのnull変異株の二重変異株に部分配列を発現させ、その中心子の対称性を検討することを計画している。現在、二重変異株を樹立し、この株を用いて目的の株を樹立する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
免疫電子顕微鏡法に用いる株は全て樹立が完了し、カートホイール欠失株にBld10pの部分配列を発現させた株もほぼスクリーニングが完了しており、この2点については順調に進展している。ただ、クライオ電子線トモグラフィーによるカートホイール構造の3次元像の取得において、画像の改善に時間を要してしまい、また、平均化のプログラムの作成も遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
中心子カートホイールの架橋構造をBld10pが構成しているかを検討するために、樹立した株を用いて免疫電子顕微鏡法を行う。さらに、Bld10pの部分配列発現株の中心子を用いてクライオ電子線トモグラフィーを行い、それらのカートホイールの詳細な3次元像を取得する。同時に、カートホイール非存在下でのBld10pの機能を検討するため、カートホイール欠失株にBld10pの部分配列を発現させたときの中心子構造を電子顕微鏡により観察する。
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