研究課題/領域番号 |
16J07109
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
森 寿仁 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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キーワード | 動脈血酸素飽和度 / 筋酸素飽和度 / 近赤外線分光法 / 内分泌 / エリスロポエチン / 成長ホルモン / コルチゾール / 個人差 |
研究実績の概要 |
本年度は,前年度に実施した研究課題1(低酸素環境下での運動時および運動後における動脈血飽和度の個人差と代謝・内分泌応答の関係)において実施できなかった血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の解析を実施した.その結果,「運動時の動脈血酸素飽和度の個人差とVEGF濃度の間には関連が認められない」ということが明らかとなった.以上の結果は当初の仮説とは相反するものであり,本年度実施する実験計画を申請書作成段階から変更する必要性が出てきた.そこで我々は,活動筋における酸素飽和度が内分泌応答に影響を与えているのではないかと新たに仮説を立て,「低酸素環境下での運動時における筋中の酸素化動態と代謝・内分泌応答の関係」について新たに検討を行った. 被験者は健康な成人男性10名とし,低酸素環境(吸気酸素濃度14.5%,標高3000m相当)において60%VO2max強度の自転車ペダリング運動を60分間実施した後,180分間の安静を行った.運動中20分毎(運動開始20,40,60分)に動脈血酸素飽和度,筋酸素飽和度,代謝系指標および血液指標を測定した.また,運動後180分の時点で再度血液指標を測定した.動脈血酸素飽和度は指尖に装着したパルスオキシメータから測定し,筋酸素飽和度は筋赤外線分光装置のプローブを右脚外側広筋に装着して測定した.代謝系指標は,酸素摂取量,二酸化炭素産生量,呼吸交換比を,血液指標は,血中乳酸,血中グルコース,血中pH,成長ホルモン,コルチゾール,エリスロポエチンを測定した. 現在解析が終了している5名の実験結果から,動脈血酸素飽和度によって測定した血中の酸素飽和度よりも,筋酸素飽和度の方が,運動中の内分泌応答と関連する様相を呈していた.したがって,低酸素環境下での運動時には筋中の酸素飽和度に着目したトレーニング処方が重要となってくる可能性がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の仮説とは異なる実験結果が得られたことから,計画の変更を余儀なくされた.変更後の実験も準備から実験実施まで数ヶ月に及ぶ難易度の高い実験ではあったが,丁寧に準備をしてきた甲斐もあり,おおむね仮説通りの結果が得られている.そのため,おおむね順調に研究が進行していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
当初の仮説とは異なる実験結果が得られたことから,計画の変更を余儀なくされた.変更後の実験も準備から実験実施まで数ヶ月に及ぶ難易度の高い実験ではあったが,丁寧に準備をしてきた甲斐もあり,おおむね仮説通りの結果が得られている.今後は現在進行中の実験の早期終了および本研究の最終ゴールである個人差を考慮したトレーニング処方の方法論について知見を収集していく予定である.
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