研究課題
制御性T細胞(Treg)の中でもnaive T細胞から誘導するinduced Treg(iTreg)はドナーからの細胞源採取が容易であり、かつアロ抗原特異的な誘導も可能であるため実際に移植片対宿主病(GVHD)治療に対する臨床応用が強く期待されるが、安定性に問題があるため実際の有効性や副作用についてはまだ不明の点が多い。本研究ではこのiTregに対してエピジェネティックな改変にて機能改善を目指し、その効果・副作用について急性GVHDモデルマウスを用いて研究することとしてきた。今までのところで行ってきた実際の方法としては、major MHC mismatchでの致死的急性GVHDモデルにおいてアロ抗原特異的に作成したiTregにエピジェネティック改変を行い、この細胞の移入によって致死的GVHDの改善が得られるかどうかを詳細に解析してきた。具体的には生存率、体重を含めたGVHDスコア、病理組織の判定、フローサイトメトリーでのTreg安定性などの評価を行いiTregの臨床的効果の改善を確認できた。またTregとしての安定性に有利なエピジェネティック改変は背景にTregマスター遺伝子であるFOXP3のエンハンサー領域においてDNA脱メチル化が進んでいる可能性が高いと考えられることから、これについてはDNAのCpG領域についてバイサルファイトシーケンスを行いその程度を確認しエピジェネティック変化を大幅に起こすことを確認できた。
2: おおむね順調に進展している
iTreg細胞の性質変化について、DNAのエピジェネティック変化、またGVHDマウスモデルの臨床的効果の両面について確認できているため1年目としてはおおむね順調と考えている。
今後このiTregが移植片対白血病(GVL)効果に与える影響についても明らかにする。また、エピジェネティック改変が今までの既存の薬剤や方法論と比較してより効果や有効性が高いことを確認する。またエピジェネティック改変によりFOXP3以外に無用な変化をきたすことがないかどうかについても確認する。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
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