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2016 年度 実績報告書

定量プロテオミクスによる細胞若返りの全容解明

研究課題

研究課題/領域番号 16J07398
研究機関東京工業大学

研究代表者

杉山 伸樹  東京工業大学, 生命理工学院, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2016-04-22 – 2019-03-31
キーワード出芽酵母 / 不均等分裂 / 細胞老化
研究実績の概要

出芽酵母のタンパク質不均等分配を大規模に解析するために、細胞分裂後の母細胞と娘細胞を効率よく分画する手法を開発した。出芽酵母を接合因子によりG1期停止し、細胞表面のタンパク質を蛍光標識した。その後1細胞周期培養し、細胞表面のタンパク質が母細胞にとどまることを利用し、フローサイトメータによって、蛍光陽性の母細胞濃縮画分と、陰性の娘細胞濃縮画分を得た。
本手法を開発するにあたり、合成培地での細胞周期同調が上手くいかなかったことから、培地の組成及び接合因子濃度、処理時間について検討を行い最終的に同調した細胞が得られた。また、フローサイトメータによる分画時のタンパク質合成・分解・移動を止めるためアルコール固定とPFA固定を試した。その結果、PFA固定では脱架橋の効率が悪く質量分析での測定がうまくいかなかったことから、アルコール固定を採用した。
次に開発した手法を用いて、1細胞周期間に合成される新しいタンパク質と、以前から存在していた古いタンパク質の比が母娘細胞間で不均等になっているものがないか探索した。1細胞周期培養する際、安定同位体標識された重いアミノ酸を含む培地を用いて新生タンパク質をラベルしたうえで、母細胞及び娘細胞濃縮画分を質量分析により測定した。
これにより不均等分配されている可能性が高いものとして、60のタンパク質が同定された。従来の報告通り、細胞壁局在タンパク質、細胞膜局在タンパク質の中には不均等分配されるものが多数同定された。その他にも、蛍光顕微鏡下で凝集体様の巨大構造体を作るタンパク質などが同定された。今後は、これらのタンパク質が細胞若返りに関わるかを調べていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

母細胞と娘細胞の分画法を確立し、不均等分配されるタンパク質を新規に同定することができた。

今後の研究の推進方策

同定されたタンパク質について、不均等分配がどのようにして起こるのか不明なものについて、機構の解明を行う。蛍光タンパク質の挙動を、誘導型プロモータによる発現停止後の動きの観察や、FLIP、FRAPといった手法を用いるなどして調べる。これらの手法で不均等分配に重要なドメインを探し、他のタンパク質や脂質が不均等分配に関わっていないかを調べ、なぜ不均等分配が起こるのかを明らかにする。
また、不均等分配される意義を遺伝学的手法を用いて解析する。それぞれの遺伝子欠失・変異株で細胞老化に関わる表現型に影響がないかを調べるが、具体的な手法は遺伝子によってそれぞれ検討する予定である。
これらの実験は、すべてのタンパク質が細胞若返りに関わるとは限らないため、過去の文献から細胞老化への関与が高いと思われる複数個の候補について並行して実験を進めていく。

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公開日: 2018-01-16  

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