前年度で得られた体細胞クローンおよび受精由来胎盤(E(Embryonic day)13.5~19.5)を、胎盤過形成の原因遺伝子候補であるH19、Rtl1およびHuRのmRNA発現解析に供した。コントロールである受精胎盤のH19発現はE15.5で最も高い発現を示し、その後E17.5、E19.5と経時的に減少した。一方でクローン胎盤のH19発現はE19.5まで高発現を維持した。受精胚のHuRは低発現ながらH19と類似した発現パターンを示し、Rtl1は検出限界以下だった。これらを制御するmicro RNAの発現解析、in situ ハイブリダイゼーションおよびDNAメチル化解析を実施する予定だったが、特別研究員を辞退したために実施に至らなかった。 c2i(conventional 2 inhibitor: PD0325901+CHIR99021)およびa2i(alternative 2 inhibitor: CGP77675+CHIR99021)で樹立および維持した雄型ES細胞をドナーとした核移植を実施し、E19.5で胎仔・胎盤を採取した。前年度に実施したa2i 雌型ES細胞とは異なり、a2i雄型ES細胞をドナーとした核移植クローンは、産仔率および胎仔・胎盤重量に差は見られなかった。試験するES細胞株数を増やすなど、今後のさらなる検証が必要ではある。雌雄のES細胞で観察されたこれらの差の原因を検証することは意義深い。
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