研究課題/領域番号 |
16J07944
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
市村 賢士郎 京都大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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キーワード | e-learning / computer-based learning / 学習動機づけ / ラーニングコモンズ / 課題取り組みの持続性 / 自己効力感 / 動機づけのエネルギー性 / 動機づけの動的変化 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,パソコンやタブレットなどのデジタル端末を用いた,e-learningをはじめとするコンピュータ利用学習(Computer-based learning)において,ドロップアウトが多いという持続性の問題の解決に寄与することである。 本年度は次の4つの研究を行った。(1)学習者のパーソナリティ特性と好みの教授者との関連の検討,(2)課題成績に及ぼす学習環境の影響の検討,(3)諦め行動が課題の持続性に及ぼす影響の検討,(4)動機づけの動的変化を測定する実験パラダイムの開発 結果,それぞれの研究において次のことが明らかになった。(1)学習者のパーソナリティから,好みの教授者を予測するのは難しいこと,(2)ラーニングコモンズでは他の学習環境と比較して,作業課題や創造性課題の成績が向上すること,(3)課題解決を諦めるという行動によって,課題に対する自己効力感が低下し,課題取り組みの持続性が低下するという悪循環が生じること,(4)課題遂行中の動機づけの動的変化を測定・分析する上で,動機づけ指標の試行内変動に着目する実験パラダイムが有効であること。 これらの成果は,学習に最適な環境,学習の持続性低下のメカニズム,課題中の動機づけの変化に関して新たな知見を提供するものであり,学習の持続性や動機づけを向上させるための示唆に富むものである。 今後はよりコンピュータ利用学習への応用可能性が高い実験状況での検討を行い,持続的に取り組むことのできる学習システムを開発する指針を得ることを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一部の研究においては,予測した結果が得られなかったものの,複数の研究を計画的に進め,今後につながる成果を挙げることができた。 また,筆頭著書として,学会誌への発表2件,学会発表4件と精力的に研究発表を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の成果をコンピュータ利用学習ならではのシステムに応用するための研究を行う。具体的には,教授者エージェントや,仮想空間上の学習環境,ナビゲーションシステムへの応用を目的とした実験状況での検討を行う。
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