研究課題
東京電力福島第一原子力発電所(FNPP)によって放出された、長半減期核種、短半減期核種による陸域哺乳動物の内部外部被ばくを統一的物理量である吸収線量[Gy]をもとに比較する手法をモンテカルロシミュレーションと、地理情報システムを用いることで確立した。その手法を、短半減期核種が腎臓から検出された個体を含む、旧警戒区域で生息していたウシの生物試料バンクに適用することにより、短半減期核種による内部被ばくも含めた被ばく線量評価を行うことが出来た。FNPP事故がもたらした陸上哺乳動物への被ばくに於いて、短半減期核種である放射性テルル、放射性ヨウ素の臓器における事故から30日間の被ばくは、長半減期核種である放射性セシウムによる被ばくの3年分に相当する個体があることがウシアーカイブの被ばく線量評価から明らかにすることが出来た。本研究に於いて、ウシの大人、子供、胎児それぞれの被ばくに言及することが出来た。大人、子供、胎児という成長段階における体の大きさに起因する放射線吸収線量の違いや、放射性核種の代謝速度の違いは、被ばく線量に違いをもたらすため、大人、子供、胎児を分けて被ばく線量評価を行ったことはFNPP事故による放射線生物影響を議論する際に重要な知見となると考えられた。シミュレーション計算によって放射性核種の濃度から、吸収線量への換算係数を計算することが可能であることが示されたため、陸域生物の放射線量評価をよりFNPP事故がもたらした状況に近づけて議論することが可能となった。イネの遺伝子、タンパク、代謝物のオミックス解析との連動は進行中である。FNPP事故から7年が経過しようとしている現在、住民の帰還の判断は、放射能汚染の多寡のみでは到底決めることが出来ないが、一方で放射能汚染の状況は最低限必要な情報であると考えられ、本研究で作成した、放射能汚染地図はその一助になると考えられた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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