研究課題
本研究は、1.解糖系の破綻による抗がん作用の評価と2.チロシンキナーゼ阻害剤 (TKI) 耐性株におけるBCR-ABLの発現制御機構の解明を目的としている。1については、白血病モデルマウスにおける中鎖脂肪酸誘導体AIC-47の活性評価とAIC-47の標的分子の同定を試みた。白血病モデルマウスを樹立しAIC-47を静脈内投与したところ、BCR-ABLの変異の有無に関わらず血中および脾臓内のBCR-ABL発現量を低下させ、肝脾腫を抑制することが明らかとなった。また、磁気ビーズを用いたプルダウンアッセイおよび質量分析により、AIC-47の標的分子として可能性のある化合物を20個まで絞り込むことができた。2については、昨年度までの検討でT315I変異細胞においてはオートファジーの誘導不全によりBCR-ABLの分解が抑制されていることが明らかにした。本年度はその機構について検証を行った。その結果、T315I変異細胞においてはBcl-2とBeclin-1との結合が解除されず、オートファジーの誘導が起こらないことを見出した。本研究における成果は現在論文として投稿中である。また、本研究ではmiRNAの発現とがん細胞の耐性との関連性に着目して研究を進めてきた。がん抑制miR-145が分泌膜小胞 (Extracellular vesicles) に内包されてがん細胞の外へと放出されており、この機構ががん細胞におけるmiR-145の発現低下の一因となっていることを明らかにした。さらに放出されたmiR-145がマクロファージをM2型へと分化誘導し、がんの増殖に有利な微小環境を構築していることを明らかにした。この成果はThe Journal of Immunology誌に掲載され、雑誌巻頭のIssue Highlights (In This Issue)で取り上げられた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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