研究課題/領域番号 |
16J08253
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
福田 智弘 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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キーワード | 手術支援機器 / フィードバック / 触覚ディスプレイ / 空気圧 / 触覚センサ / 腫瘍 |
研究実績の概要 |
術者の触覚が制限される腹腔鏡下手術においては,従来の開腹手術で行えていた,触診による早期胃癌の位置同定が困難である.本研究では,機械だけでなくヒトならではの特長も有する協調的触診システムを構築することを目的としている.システムは,触覚センサと触覚ディスプレイで構成することで,術者の知覚に基づいたセンサ出力の解釈,およびセンサ操作の最適化が期待できる.システムと術者の高い調和に向けて,本年度は主に,心理物理実験を行い,センサ出力のフィードバックが胃癌検出に与える効果を調査するとともに,空気圧を用いたリング型触覚ディスプレイの開発を行った.
これまでに開発した,高い生体安全性・臨床適応性を有する反射音を用いた触覚センサの出力をフィードバックする手法として,モニタを用いた視覚フィードバック,足背部に押し込み力を呈示する触覚ディスプレイ,および両者の統合を用意した.胃癌ファントムに対して検出実験を行い,当該3条件をフィードバックがない条件と比較したところ,フィードバックによって検出感度が向上するだけでなく,センサ操作(押し付け力やなぞり速度)に対しても良好な影響を与えることが示された.
さらに上述の実験から,触覚ディスプレイの改良が必要であることが示唆されたたため,フィードバックのより直感的な理解の誘発を目的とし,呈示部位を指としたリング型触覚ディスプレイを開発した.本ディスプレイは駆動に空気圧を用いており,臨床適応性も十分考慮されている.小型の空気圧制御部も並行して開発し,基礎実験により,触診システムでの利用に必要な性能を有していることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,心理物理実験を行い,センサ出力のフィードバックが検出感度だけでなく探索動作へも影響を与えることを示し,その結果を基に,呈示部位を指とした触覚ディスプレイの開発も行った.よって,システムと術者のより高い調和の実現に不可欠な,ヒトの触知覚を考慮した研究への取り組みが行えたと考えており,おおむね順調に進展していると評価する.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,開発したリング型触覚ディスプレイを工学的・心理物理学的に評価するとともに,より効果的な情報呈示に向けた信号処理の開発を行う.また,触覚センサについても,より直感的な操作の誘発を目指して,設計を改良していく.加えて,実用化に向けてより具体的な課題発見および解決のため,臨床試験も並行して行う.
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