本研究はホログラフィックレーザー描画手法の確立と,スクリーン材料特徴を活かした新しいボリュメトリックディスプレイの提示,およびそれらの体系化である.本年度は下記に示す研究を実施した. ① 指向性映像表示のための体積型バブル構造体および超音波照射によるバブル映像消去の検討. ② 放物面鏡によるプラズマの再結像を用いた空中ボリュメトリックディスプレイの検討. ①は,2017年に提案したフェムト秒レーザー誘起バブルをボクセルとして用いたボリュメトリックバブルディスプレイの新たな映像表現手法の探索として,観察方向に依存して異なる映像を出力するバブル構造体の生成を目指すアプローチであった.本研究において我々は,3つの異なる指向性映像の表示を実現した.これらの結果は音響放射圧によるバブル映像消去の成果とともに,第79回応用物理学会秋季学術講演会で発表された. ②は,2016年に提案したフェムト秒レーザー誘起プラズマをボクセルとして用いた空中ディスプレイのフルカラー化に対するアプローチであり,2枚の放物面鏡とカラーフィルタによる空中結像を用いることで実現を試みた.我々は上記コンセプトを実現するシステムを実装し,空中プラズマが放つ白色光をカラーフィルタのパターンに依存した色に再結像できることを実証した.本研究成果は,第66回応用物理学会春季学術講演会およびJapan Student Chapter Meeting 2018で発表された. 当初の計画通り,ホログラフィックレーザー描画に基づくボリュメトリックディスプレイを用いて,固体,液体,気体の異なるスクリーン材料の特徴を活かしたシステムの提示および体系化を行い,論文をまとめるに至った.
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