研究課題
本研究は、負に帯電した無機ナノシート間に働く静電反発力を利用することによって、高度に制御された階層的異方構造からなる巨大単結晶のようなソフトマテリアルを設計するとともに、その異方的な静電反発力に起因する破格の物性・機能の開拓を目指す。最終年目である当該年度は主に、前年度までに得られた世界最大の力学的異方性を有するハイドロゲルの基礎科学的理解を深めるとともに、力学的・光学的機能への応用探索を行った。まず、小角X線散乱測定や共焦点レーザー顕微鏡を用いることで、得られたハイドロゲルの三次元構造解析を行い、内部構造を明らかにした。これによって得られた内部構造情報とハイドロゲルの力学的異方性の関係について詳細に検討した。次に、力学的異方性が異なる種々のハイドロゲルを利用することによって、力学的異方性がどのように免震性能に影響を及ぼしているかについて精査した。本研究で得られた知見は、より高性能な免震材料を作製するための合理的な設計指針となりえる。さらに、得られたハイドロゲルはその内部に、無機ナノシートが超長距離かつ一定間隔で配列したフォトニック構造を有することから、動的フォトニック機能への展開も行なった。このフォトニックゲルに機械的刺激を与えて圧縮・解放したところ、ナノシート間の距離が大きく変わる結果、それに伴って構造色も赤色から青色に渡って可逆的に変化することが明らかになった。このような動的フォトニックゲルはセンサーや反射型フルカラーディスプレイなどへの応用に繋がると期待される。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (1件)
Angewandte Chemie International Edition
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