現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は,当初計画に沿って微小液滴生成装置の構築とジェット・液滴の制御に取り組んだ.具体的には,マイクロチャネルを利用してマイクロジェット挙動の実験的解析を行った.その結果,マイクロ流路内に微小なキャビテーション気泡が生じることにより,液体ジェットの制御性が著しく低下することを実験的に明らかにした(Hayasaka, Kiyama, et al., Microfluidics and Nanofluidics, 2017).このキャビテーション発生条件については,メゾスケールの実験を行うことで定式化を進めている(Pan, Kiyama, et al., Proceedings of National Academy of Science, 2017).また,流路内に微小な気泡を疑似的なキャビテーション発生源として導入することにより,キャビテーション発生及び液体ジェット速度を制御するための指針を得た(Yukisada, Kiyama, et al., Langmuir, 2018). 加えて,高い粘度のジェット・液滴について検討を進めた.水の100倍程度の粘度を有する液体に関しては,増粘により液体ジェット先端からマイクロ液滴を分離・形成することが困難になるとの結果を得た.また先述のキャビテーションの効果としては,液体ジェットの速度ばかりでなく,その飛翔時の形状に対しても大きな影響を与えることが実験的に明らかになった. 以上のことから,当初想定した課題に対して,概ね順調に研究が進展していると考えられる.加えて,当初想定していなかった,キャビテーションがジェット形状に与える影響なども明らかになっており,今後の研究進展に対する有望な示唆が得られた.
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