研究実績の概要 |
平成29年度は下記の4つの課題に取り組んだ.これらの課題遂行のために東京大学大規模集積システム設計教育研究センターを経由して65nm SOTBプロセステクノロジおよび設計CADツールを利用した.国内/国際会議でそれぞれ3件,1件の発表をし,論文誌で3件の発表を行った.また,平成28年度,29年度の活動に対し,5件の受賞があった.研究成果をまとめ博士論文を執筆した. 1)平成28および29年度の研究成果(①高エネルギー効率,高ディペンダビリティを実現するオンチップメモリの回路構造の解明(1件),②電源電圧,バックゲート電圧の動的調節による集積回路の高エネルギー効率化(2件))に関し論文誌に3件投稿し採択された. 2)課題1の①で開発したメモリを搭載した32ビットRISCプロセッサを設計し,電源電圧0.4 Vにおける安定動作を実測により確認した.極低電圧領域での安定動作が実現された結果,レモン電池のみの給電で試作プロセッサが1 MHz程度のクロック周波数で安定動作することを確認した.国内の研究会で上記の結果に関するデモンストレーション行った結果,最優秀ポスター発表賞を受賞した. 3)オンチップメモリのアクセス頻度に応じて消費エネルギーを最小化する電源電圧とバックゲート電圧の組が変化することを実験的に明らかにした.具体的には,プロセッサが実行するアプリケーションに応じてオンチップメモリの稼働率が変化し,その結果電源電圧とバックゲート電圧の最適な組が変化する.アクセス頻度に応じて電圧を調節することで,一様に電圧印加する場合と比べて最大24%消費エネルギーを削減できることを明らかにした. 4) 課題3と同様に,プロセッサのロジック回路とオンチップメモリの稼働率が異なる点に注目し,ロジックおよびメモリに独立して電圧制御技術を適用することにより消費エネルギーを削減できることを明らかにした.
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