研究課題/領域番号 |
16J08811
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
西田 勇樹 立命館大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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キーワード | 洞察問題解決 / 潜在認知 |
研究実績の概要 |
本研究は,洞察問題解決過程における潜在認知と抑制のはたらきを検討するために実施された。平成29年度は以下の3つの実験を行った。 第一に,洞察問題解決中に得た手がかり情報だけでなく,妨害情報も抑制されてしまうのか調べた。抑制には資源が必要なため,問題解決中に聴覚的ノイズが入ることで手がかりの活用が促進されると予想された。同時に,ノイズが入ると妨害情報の活用も促進してしまうと予想された。手がかりと妨害情報は,閾下呈示された。その結果,抑制が中程度はたらく人においてノイズが,手がかりの活用を促進した。 第二に,洞察問題解決中に得た手がかり情報が抑制されてしまうのか,その因果的関係を調べた。先の実験と同様に,半数の参加者にはノイズを与えて実験を行った。問題が解けなかった場合,参加者に問題の答えを呈示して,それが問題の答えかどうか判断させた。抑制がはたらくノイズなし条件では,判断の反応時間が遅延すると予想された。実験の結果,仮説通りとはならなかった。実験手続きの再検討が,次年度の課題として残された。 第三に,洞察問題解決における新しい手がかり刺激を吟味する実験を行った。刺激には,問題の答え画像,答えに近い画像が用いられた。実験の結果,答えに近い画像を提示した場合,最も洞察問題の成績がよかった。このことは,問題の初期状態から近く,なおかつ問題の手がかりとなるような情報が有効であることを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新しい刺激の選定に時間が取られた。これまでの実験では閾下で呈示した手がかりがどのような効力をもつのか明らかにしようとしてきたが,効果がみられないことが多々あった。この原因の一つとして,手がかり刺激が不適切であることが考えられた。そこで,新たな刺激の作成と選定のための実験におわれた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,新しい手がかり刺激を用いて認知コントロールと潜在的認知の相互作用について引き続き検討する。具体的には,認知コントロールが潜在的に得た手がかりを取捨選択しているのかどうか検討する。そのために,ワーキングメモリなどの認知機能について視野を広げて検討する。
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