研究実績の概要 |
ペプチド-ポリイオンコンプレックスマトリックス(ペプチド-PCM)の開発 組織工学に応用可能な基底膜機能を模倣した新規バイオマテリアルを創製することを目的にポリイオンコンプレックス法を開発した。ケミカルライゲーション法を用いて,ペプチドとアルギン酸アルデヒドを結合させ、ペプチド-アルギン酸を合成し、ペプチド-アルギン酸とキトサンマトリックスでPCMを形成させることで,安定なペプチド-高分子多糖マトリックスを作製した。ペプチド-PCMはペプチド特異的に細胞表面受容体と相互作用し、細胞接着活性を示した。ペプチド-PCMは簡便に作製可能であり、組織工学に応用可能な新規のバイオマテリアルとして期待できる。Fujimori, C.‡, Kumai, J. ‡, et al., Biopolymer, 108: e22983., 2017.) ヒトラミニンα5鎖Gドメインの活性部位の同定 ヒトラミニンα5鎖Gドメインの生物活性部位の同定を目的に、活性ペプチドの探索を行った結果、18種類の生物活性配列を同定した。ラミニンLG3モジュール部分に存在するhA5G66dを固定化したキトサンマトリックスは、インテグリンα3β1およびインテグリンα6β1と相互作用することがわかり、ラミニン-511およびラミニン-511E8フラグメントのインテグリンを介した細胞との相互作用に,重要な役割を担っている可能性が示された。また、ペプチドの評価方法によりペプチドが及ぼす生物活性に違いがあることがわかった。これらのペプチドは多様な機能を有するラミニンの分子メカニズムを解明する上で,有用なツールとなることが期待される。また、hA5G66d-キトサンマトリックスは、インテグリンα3β1およびインテグリンα6β1を介して細胞と相互作用していることから、ヒトES/iPS細胞の培養基材としての応用が期待できる。
|