研究課題/領域番号 |
16J09326
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
中村 拓人 電気通信大学, 情報理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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キーワード | ハンガー反射 / 擬似力覚 / 不随意運動 / 触覚 |
研究実績の概要 |
本研究は主にスポーツの姿勢や動きといったフォームの教示・学習の際の主体性を失わない学習システムの実現が目的である。手法として、本研究ではヒトの錯覚を利用した不随意運動や知覚として力を感じる疑似力覚を利用する。特に特定部位への圧迫により対象部位が回旋してしまうほど強い疑似力覚生じる「ハンガー反射」現象に着目した。本現象は頭部・手首・足首・腰部で確認されており、圧迫によって生じる皮膚のせん断変形が発生に寄与していることが確認されている。さらに、昨年度の成果として、ハンガー反射現象下の部位に振動刺激を重畳すると、知覚する力覚が増加することが確認されている。 そこで、昨年度から巻取り機構を用いた振動及び皮膚変形を提示するデバイスを開発している。デバイスは2つのDCモータと軽量なベルトで構成され、ベルトが対象部位にふれることで触覚提示を行う。DCモータに正弦波などのAC信号を印加すると振動提示が行われ、DC信号を印加するとベルトが一方向に巻き取られ皮膚を変形される。本デバイスを用いて、ハンガー反射に必要な皮膚変形を発生させつつ、振動刺激を重畳することで強い力覚を提示することが可能となる。さらに本年度はベルト巻取りを利用した振動及び力覚を提示するデバイスの改良と応用を行った。デバイスはスマートフォン、手首、頭部へ応用し、アプリケーションの開発を行った。申請書に記載した手首への力覚提示デバイスの開発を行ったことになる。これは、今後の姿勢や動きの教示を行うための装置であり、手首以外の部位にも手法を適用することで、適用可能な動きを増やすことが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は昨年度開発したベルト巻取りを用いた疑似力覚提示装置の改善とアプリケーション開発を行った。今年度の終わりより、実際にゴルフのパターへの応用を試しており、今後も引き続き行っていく。また、ベルト巻取りを用いた力覚提示装置をスマートフォンや頭などにも応用しており、アプリケーションの開発なども並行して行った。当初予定していたハンガー反射現象の解明についても進んでいるため、概ね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今年度でゴルフのパターへの応用を行う実験を開始した。翌年度は引き続き手首に装着したデバイスによって手首回旋方向の擬似力覚を提示し、ゴルフパターのぼーる到達位置への影響を調査する。また、教示のタイミングや強度などの検討を行い、適切な教示パタメータを調査していく。さらに、デバイス適用群と非適用群で学習効率を比較し、システムの有用性を調査していく。
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