研究実績の概要 |
本研究は、La-Co-O 系および La-Ni-O 系の層状ペロブスカイト型酸化物群の緻密体を作成し、その導電率や酸素不定比性、電極過電圧などを測定することで、それらの間に存在する関係を評価することである。 今年度は、硝酸塩凍結乾燥法やボールミルによる一次粒子径の低減、熱間等方加圧法により LaNiO3 や La4Ni3O10, La3Ni2O7 の緻密化を達成し、酸化物の二相平衡による酸素分圧制御により La4Co3O10 の緻密化を達成した。 その緻密体を用いて上記の酸化物群の導電率を測定したところ、いづれの酸化物の導電率も SOFC カソード材料として使用する際の導電率の目標値である 100 S cm-1 を上回った。LaNiO3 と La4Ni3O10, La3Ni2O7, La2NiO4 の導電率を比較すると、結晶中のペロブスカイト層の増加と共に導電率が増大し、特に、LaNiO3 の導電率は SOFC カソード材料中で最高である 3000 S cm-1 であった。 更に、ヨウ素滴定法により各酸化物の酸素不定比性を測定したところ La4Co3O10 は酸素過剰となる不定比性を示し、La4Ni3O10 と La3Ni2O7 は酸素欠損型となる不定比性を示した。 La4Co3O10 と La4Ni3O10 は同じ結晶構造を有する酸化物であるにもかかわらず酸素不定比性が過剰型と欠損型に分かれたことは興味深く、それらの結晶内には酸素空孔と格子間酸素が混在する可能性を示唆している。
|