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2016 年度 実績報告書

高圧キセノンガスを用いたニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊の探索

研究課題

研究課題/領域番号 16J09462
研究機関京都大学

研究代表者

潘 晟  京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2016-04-22 – 2019-03-31
キーワードニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊 / キセノンガス検出器
研究実績の概要

ニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊の探索は、ニュートリノがマヨラナ性を有するか否かを決定するために重要な実験である。ニュートリノがマヨラナ性をもつことで、ニュートリノの極端に軽い質量を自然に説明できるモデルが有り、また、物質優勢宇宙の起源についての大きなヒントともなり得るために、非常に注目されている。ニュートリノがマヨラナ性をもつ場合にのみニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊が起こりうる。これを観測することが本研究の目的であるが、この崩壊は非常に稀であるために、発見には高エネルギー分解能、大質量を兼ね備えた検出器が必須であり、それらをかね備えた高圧キセノンガス検出器を開発している。
28年度の研究では、容積0.7L程の小型の試作機を用いて高いエネルギー分解能が達成できるかどうかの性能評価を行った。解析の方法や検出器の改良を行い、その性能を大きく向上させることができた。また、放電が原因でうまく電圧がかけられない問題が深刻であったが、検出器内部から電源に至るまで、あらゆるところに対して放電対策を施すことで目標の電場を形成させることができるようになり、結果として二重ベータ崩壊のQ値に換算して1%を下回るエネルギー分解能(FWHM)を達成した。これにより、開発している検出器のコンセプトが間違っていないことが示された。
また、大型化のノウハウを獲得するために、より大型の試作機の制作にもとりかかった。29年度の稼働を目指して、圧力容器や検出器の構造の設計を開始している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

小型の試作機による性能評価について、検出器と解析方法の改良及び、放電対策を徹底しすることで、その性能を大幅に向上させることができた。4気圧のキセノンガスを使用し、57
Coより放出される122keVのガンマ線を用いて性能評価を行い、二重ベータ崩壊のQ値に換算して0.8%(FWHM)のエネルギー分解能を達成した。
また、次期大型試作機の開発も同時に行っており、28年度は検出器を収める圧力容器の設計や検出器部分の仕様の決定、構造の検討を行った。制作は現在進めており、29年度中の稼働を目指している。

今後の研究の推進方策

29年度中に大型試作機の開発を完了し、性能を評価する。また、得られたデータとシミュレーションを照らし合わせ、検出器の理解を深める。具体的には、バックグラウンドの量と源を特定し、最終的に開発する検出器の開発の際に問題となるであろう箇所を炙り出す。
また、大型試作機の開発を通じて、大量チャンネルの光検出器の制御や高電圧の取扱に対するノウハウを獲得する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)

  • [学会発表] AXEL実験:現10L級試作機の性能評価と次期100L級試作機の製作2017

    • 著者名/発表者名
      潘 晟
    • 学会等名
      日本物理学会 第72回年次大会
    • 発表場所
      大阪大学
    • 年月日
      2017-03-17
  • [学会発表] AXEL実験2017

    • 著者名/発表者名
      潘 晟
    • 学会等名
      23rd ICEPPシンポジウム
    • 発表場所
      白馬岳美山荘
    • 年月日
      2017-02-20
  • [学会発表] Performance of the prototype detector of AXEL2016

    • 著者名/発表者名
      潘 晟
    • 学会等名
      DBD16
    • 発表場所
      大阪大学
    • 年月日
      2016-11-08 – 2016-11-10
    • 国際学会
  • [学会発表] 511keVガンマ線を用いたAXEL検出器の試作機の性能評価2016

    • 著者名/発表者名
      潘 晟
    • 学会等名
      日本物理学会2016年秋季大会
    • 発表場所
      宮崎大学
    • 年月日
      2016-09-23
  • [学会発表] AXEL : neutrinoless double beta decay search with a high pressure Xe gas TPC2016

    • 著者名/発表者名
      潘 晟
    • 学会等名
      NEUTRINO2016
    • 発表場所
      Imperial College London, South Kensington, London, United Kingdom
    • 年月日
      2016-07-04 – 2016-07-09
    • 国際学会
  • [備考] AXEL

    • URL

      http://www-he.scphys.kyoto-u.ac.jp/research/Neutrino/AXEL/

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公開日: 2018-01-16  

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