研究課題/領域番号 |
16J09480
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
安在 絵美 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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キーワード | 変形性膝関節症 / 動的足部機能 / 歩行 / 足底圧 |
研究実績の概要 |
本研究では,変形性膝関節症を地域で早期発見するための計測装置の開発と重症度推定のための評価指標の構築を目的としている.特に,静的および動的な足部機能パラメータから推定モデル構築を目指すものである.当年度は下記について取り組んだ. ①動的足部機能評価のための新しい計測装置の開発 La Trobe Universityの足病学関連の研究室に留学し,足部バイオメカニクスの知見提供を受けながら新規計測デバイスの開発を行った.本デバイスでは,足底の垂直応力のみならず剪断応力を計測可能なよう構成した.すなわち,膝関節の変形による下肢の内旋運動に伴う足底部の力学的変化を捉えられる構造にした.開発に際して,医療現場や日常生活中の計測環境を考慮し,スマートデバイスを通して無線計測できるよう構成するとともに,インターネット上にデータ収集できるよう構築した.本システムについては,足底圧から歩行状態を判定する独自のアルゴリズムも搭載し,特許申請を行った. ②変形性膝関節症の疼痛強度と動的歩行機能の関連調査と因子抽出 変形性膝関節症を有する者を含む地域高齢者79名を対象に,開発したデバイスを用いて歩行機能を調査し,疼痛強度に関連する歩行機能パラメータの抽出を行った.これにより,変形性膝関節症の疼痛強度と動的歩行機能との関連が明らかになりつつある.また,健常群と変形性膝関節症群,健常群と虚弱群などの群別身体機能特性についても検討し,その結果について発表を行った(MMHS-2016, OARSI2017, 第3回日本運動器理学療法学会).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
足底圧から動的歩行機能を評価する方法について新たな解析パラメータを取り入れたことで,変形性膝関節症に関連する足部や歩行特性についての解析が大きく進んだ.一方で,新規の計測装置について開発は順調に進みつつあるが,センサ特性の影響から非荷重状態での出力が,荷重前と荷重後で変わることがわかった.そのため,キャリブレーション方法や解析手法について新たに検討する必要がある.本課題については荷重前と荷重後でキャリブレーションを行うなど解決方法を模索している.
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今後の研究の推進方策 |
変形性膝関節症の疼痛強度と動的歩行機能との関連については,追跡調査を行う必要がある.追跡介入調査により疼痛強度の変化と歩行機能・足部状態の変化を解析することで,両者の関連について科学的に明らかにする.また,健常者(リスク群も含む)に対して変形性膝関節症の診断根拠であるX線撮影を行うことは難しいことから,これを行っている米国の研究機関との連携を進めており,変形性膝関節症のリスク群の臨床的な追跡調査を予定している.本年度はその診断情報とあわせた解析を進め,重症と歩行機能・足部機能の関連を明らかにする.
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