研究課題
Th2細胞はアレルギー炎症反応に重要な役割を果たす。しかし、Th2細胞にユニークなT細胞受容体(TCR)シグナル伝達についてはよく分かっていない。SWAP-70-like adapter of T cells (SLAT) は、TCR下流で働くグアニンヌクレオチド交換因子であり、T細胞の免疫応答を制御している。本研究では、Th2細胞から新たに見出したSLATのsplicing formを単離・同定し、TCRシグナル伝達における機能を解析することを目的とした。T細胞の分化過程におけるSLATの発現パターンを解析する中で、Th2細胞だけに特異的に発現する抗SLAT抗体で検出される新しい分子を見出した。Th2細胞から遺伝子を単離した結果、SLATを構成するエクソン2からエクソン7がalternative splicingにより欠如した遺伝子であることが判明し、SLAT2と命名した。次にSLAT2の機能解析を行った結果、SLAT2はSLATと同様にNFATの活性化上昇と、サイトカインIL-4の産生に関与することが示された。一方、SLATがもつICAM-1に対する細胞接着能の増強効果はSLAT2では損なわれていた。細胞骨格に及ぼす影響を解析した結果、SLATは細胞膜に局在しfilopodia形成に関与するのに対して、SLAT2は細胞質に局在し、短いfilopodiaの形成に関与することが明らかとなった。以上のことからTh2細胞から新たに見出したSLATのalternative splicing (SLAT2)の発現は、サイトカイン産生や細胞骨格形成などのT細胞エフェクター機能に影響を与えることが明らかとなった。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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International Journal of Inflammation
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10.1155/2017/1324735