これまでの本研究によって、従来信じられていた「微衛星」によって衛星を作るモデルには、微衛星の形成前に材料物質が全て惑星に落下してしまうという問題があることがわかった。 微衛星が作られるためには、大量の微小固体物質(ダスト)が衛星形成領域に供給される必要があり、その条件の達成が難しいためである。そこで、新たに「ペブルアクリーション」による衛星形成の可能性を検討したところ、少量の材料物質でも衛星が形成可能であることがわかった。さらに、このモデルでは木星の衛星の幾つもの物理的・化学的特徴を説明できるとわかった。この「ペブルアクリーション」による衛星形成モデルを、平成30年度にはさらなる検証とより深い議論を重ねて改善し、より妥当なものとした。この研究はすでに論文化され、間も無く投稿される。また、これらの研究成果を国内外の複数の学会で発表した。さらに、このモデルの構築に際して使われた数値計算方法よりもより詳細かつ正確な「N体計算」を用いた衛星の軌道計算を始めた。これは、日本学術振興会「若手研究者交流事業(スイス枠) 」により5ヶ月間滞在したスイスのベルン大学にて行い、帰国後も続けている。加えて、微衛星形成についてもより詳細な検証を始めた。本研究で判明した問題が、衛星形成領域とダストの挙動について数値磁気流体計算をもとにより正確にモデル化することによって回避され得ることがわかってきた。この内容についても近いうちに論文化予定である。さらに、本研究の内容と関連する事柄を二つ、他の研究者と共同で検証した。これらについても論文化され、掲載あるいは投稿された。
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