研究課題
本研究の目的は、個々の2型糖尿病の発症パターンを早期に予測するため、2型糖尿病の主要な成因であるインスリン分泌能低下とインスリン抵抗性を予測するための遺伝的リスクスコア(Genetic risk score: GRS)を構築し、GRSによる2型糖尿病発症パターンの分類を行うことと、これらGRSが2型糖尿病発症に及ぼす影響は、どのような生活習慣・身体特性を有する者において弱まるかを明らかにすることである。本年度は、2型糖尿病の既往歴のない中高齢者において、昨年度までに構築したインスリン分泌能低下を予測する遺伝的リスクスコア(insulin secretion-GRS [IS-GRS])とインスリン分泌能および空腹時血糖値との関連は、全身持久力が高い者において弱まるかどうか、また、それらの関連はBMIが低い者においても認められるかどうかを明らかにすることを目的として研究を行った。2型糖尿病の既往歴のない中高齢者882名を対象とした横断研究を行った。IS-GRSはインスリン分泌能との関連が報告されている20個のSNPより求めた。全身持久力は最大酸素摂取量の測定により評価した。BMIの中央値(BMI = 22.6 kg/m2)で対象者を高BMI群と低BMI群に分類し、それぞれの群において解析を行った。その結果、高BMI群においてIS-GRSと全身持久力との間に有意な交互作用が認められ、全身持久力が低い者においてはIS-GRSとインスリン分泌能および空腹時血糖値との間に有意な関連が認められたが、全身持久力が高い者においてはこれらの関連は認められなかった。しかし、低BMI群においてこれらの交互作用は認められなかった。以上の結果より、インスリン分泌能と空腹時血糖値に及ぼす遺伝要因の影響は、BMIが低い者においては高い全身持久力を有していても弱まらない可能性が示唆された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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