研究実績の概要 |
本研究の目的は,(A)地球温暖化の沿岸域への影響評価に用いる極浅海域まで拡張した大気・海洋・波浪結合モデルの構築し,(B)沿岸部における波浪や流れ(沿岸外力)や塩熱環境場(環境場)の長期的変化を予測することである. (A)大気・海洋・波浪結合モデルの構築 波による流れ(Stokes drift)に対する不規則波浪の影響を考慮した海洋・波浪結合モデルの開発を行った.海洋ー波浪間の計算コストを考慮して,不規則波浪に対するStokes driftの定式化を行い,結合モデルに実装した.外洋から沿岸まで空間的にシームレスな結合モデルの構築を行った. (B)沿岸部における沿岸外力・塩熱環境の長期変化予測 上記(A)で構築したモデルを用いて,外洋から沿岸域まで空間的にシームレスな海洋流動解析を行った.具体的には,太平洋北西部(和歌山県沖)から和歌山県田辺湾にかけて2段階のネスティンググリッドを導入し,最終ドメイン解像度を100mとした高解像度海洋流動解析を行った.海洋流動解析の実行に向けて,北西太平洋海洋長期再解析データセット(FORA-WNP30;Usui et al., 2017)の解析を行った.気候変動の長期変化予測に向けて,大気・海洋モデルMIROC5の将来気候計算の解析も行った. これら(A)(B)をまとめて,地球温暖化の影響評価に用いる極浅海域まで拡張可能な大気・海洋・波浪結合モデル構築とした.
|