研究実績の概要 |
ヒト血漿ならびに前房水中NMN,NAD及びNamのLC-MS/MSを用いた内部標準法による濃度測定法を開発した。NMN/NAD/Nam濃度測定用の検量線用標準試料の実測濃度・真度ならびに検量線回帰式,精度管理用QCサンプルの実測濃度・真度の結果得た。検量線濃度範囲にて良好な直線性を示し,精度管理用QCサンプルの真度は良好であった.いずれも内部標準法にて,ヒト血漿および前房水中NMN,NAD及びNamは測定可能であることが確認された. NAD代謝改変の影響についてヒト角膜内皮細胞セルラインを用いてNAD関連中間代謝産物(Nicotinamide, NMN, NAD中間代謝産物)を添加あるいはNAD合成系律速酵素阻害剤(FK866)添加下での代謝改変の影響をFlux Analyzer(Seahorse:XF24)およびメタボローム解析にて検討した。NMN添加で還元型グルタチオンが優位に増加しておりNADは酸化ストレススカベジャーとして機能している可能性が示唆された。その他様々な有用な知見を得た。 諸所の条件でミトコンドリア膜電位JC1/10染色を用いて測定し、細胞内NADの増減がもたらす代謝改変の影響をin cell analyzerを用いて解析を行った。このアッセイではアポトーシス等で変化したミトコンドリア膜電位差(ΔΨ m)を蛍光検出できる。酸化ストレス下のヒト角膜内皮細胞(B4G12, DSMZ, ドイツ)におけるNMN,NAMのミトコンドリア膜電位維持による細胞死抑制効果を示唆するデーターを得た。
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