研究課題
骨格筋は全身に分布している。多くの遺伝性筋疾患において、筋病態発現部位は一様ではないことが知られているが、筋病態の身体部位特異性を生むメカニズムは不明である。本研究の目的は、発生起源が異なる身体内の骨格筋間で発現が顕著に異なるHoxa10に着目し、成体内骨格筋の身体部位特異性を生む分子基盤の一端を明らかにすることである。これまでに、骨格筋の幹細胞であるサテライト細胞特異的にHoxa10をノックアウトできるPax7-CreERT2;Hoxa10-flox/floxマウス(Hoxa10CKOマウス)を用い、Hoxa10の欠損により四肢筋の再性能が低下する一方で、頭部筋には影響がないことを明らかにした。Hoxa10CKOマウスの四肢筋(棘上筋・前脛骨筋)から取り出した初代培養サテライト細胞の増殖能は、Hoxa10ノックアウトにより抑制された。このとき、染色体分裂異常の指標となる小核の形成、クロモソームブリッジと呼ばれる染色体の構造異常を確認した。これら四肢筋由来細胞で見られたHoxa10欠損による増殖能低下、細胞分裂の異常は、頭部筋(咬筋・僧帽筋)由来細胞ではみられず、Hoxa10が身体部位特異的に筋再生制御に関与していることを示唆する結果が得られた。また、マウス培養細胞を用いて得られた細胞増殖能低下・小核の形成などの結果は、ヒト下肢筋由来筋芽細胞のHOXA10ノックダウンにおいても再現された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Stem Cell Reports
巻: 11 ページ: 1523~1538
https://doi.org/10.1016/j.stemcr.2018.10.009