研究課題
細胞の中での気泡化と細胞の外での気泡化による傷害作用を比較することにより,細胞内に相変化ナノ液滴を導入する利点を示した.具体的には気泡化に伴う傷害作用を引き起こす超音波の音圧値が低下することを示した.さらに細胞内気泡化により傷害した細胞の免疫原性を評価し,本手法によって引き起こされる細胞死の免疫原性が高いことを示した.下記に具体的な内容について示す.抗体修飾された相変化ナノ液滴(9E5修飾PCND)を抗体抗原反応により細胞内に選択的に導入することで液滴同士の凝集が共焦点顕微鏡観察により確認された.9E5修飾PCNDをDLD1細胞(抗原発現がん細胞)に作用させてから1hでは,細胞内における9E5修飾PCND由来の蛍光シグナルは検出されなかったが,細胞膜に介入している9E5修飾PCNDが観察された.9E5修飾PCNDを細胞に作用させてから3hでは,細胞内に移行している9E5修飾PCNDが観察され,6hでは,細胞内移行が顕著であった.24h経過すると,細胞内の数か所で9E5 修飾PCND からの高い蛍光輝度値が検出された.PCNDの細胞内凝集を引き起こした状態とそうでない状態において,超音波照射を行い,生存率測定を行うと,凝集を引き起こした状態において,細胞を傷害するために要する超音波強度が低かった.このことから細胞内に相変化ナノ液滴を導入することで,気泡化による傷害閾値を低下できることを示した.また,細胞内気泡化により引き起こされた細胞死において,ATPとHMGB1の細胞外への放出が確認された.これらの物質はDAMPs(damage associated molecular patterns)として知られ,免疫原性を有する.このことから,本手法によって引き起こされる細胞死の免疫原性が高いことが示された.
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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