研究実績の概要 |
隕石・テクタイト、などが大気圏突入の際に表面が溶融してできる急冷溶融ガラスの局所構造解析、火星由来隕石ガラス部の局所構造解析、ジルコン、ジルコニアを用いた高温浮上実験を行い、高温における結晶構造の変化を研究した。 コンドライト隕石の他に石鉄隕石のOdessa隕石やAllende隕石に加えて、火星の隕石衝突により飛来したとされるshergottite隕石における溶融ガラスのCa, Ti, Fe局所構造を解析した。Ca, Fe, Tiの局所構造解析により、隕石表面の溶融ガラスは元となる隕石の種類によらず共通の局所構造を持ち、大気圏突入時の高温により蒸発した気化成分の気化熱により急冷されてできたことが明らかになった。Zr局所構造解析で衝突時の温度圧力の情報の推定を行い、中心ガラス部はバデレイ石(ZrO2)に似たZr局所構造を持つことが明らかになり、Tissint隕石をもたらした火星隕石衝突がバデレイ石を溶融させるほどの高温・高圧ではなかったということを推測することができた。 高温環境の再現実験として、ジルコン、バデレイ石を用いた高温実験を行った。本研究によりガスで試料を浮上させながらレーザーで加熱することでコンタミネーションの影響をほとんど受けずに実験することができる手法を導入した。ジルコニアの高温の構造解析により、正方晶-立方晶の相転移時での体積変化がほとんど起きず、体積は温度上昇と正の相関を持つことが明らかになった。本研究によりジルコニアはP-T図の相境界は正の勾配を持つことを提案した。ジルコンを加熱後、回収した試料を定量分析を行い、ZrO2-SiO2系の相図の2250-2430度の領域における二液混合領域が存在しないことを明らかにできた。ジルコン、ジルコニアの長高温における正確な挙動が明らかになり、レーザー加熱法によるその場観察の有効性を明らかにできた。
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