研究課題/領域番号 |
16J10251
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
北田 昇雄 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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キーワード | ルシフェリン / イメージング材料 / 発光イメージング / ホタル生物発光 / 長波長化 / 高輝度化 |
研究実績の概要 |
本年度はホタル生物発光特性について、輝度向上と波長改変の2つのアプローチで構造活性相関の研究を行った。輝度向上と長波長化を行うことで、これらをイメージング材料として使用する際に非常に有用である。生物発光を用いたイメージングはマウスやラットでは広く活用されてきたが、輝度向上と長波長化を行うことで、今まで実現することの出来なかったミニブタやマーモセット等の中大型動物での光イメージングが可能となる。 輝度向上のプロセスについては、発光輝度の高いAMP中間体アナログを用いることで輝度向上を目指す。ホタル生物発光の1段階目の反応で生成されるAMP中間体は発光輝度が非常に高い代わりに非常に不安定でありイメージング材料等として応用するには適していない。そのため今回はこのAMP中間体を安定化したAMP中間体アナログを合成することを目指した。今回の結果としては安定化したAMP中間体アナログの合成には成功したものの、合成が困難であるために、少量の合成しか出来ず、大量合成には至っていない。 波長改変のプロセスとしては、当研究室で所有する長波長化技術に加え、今回新たにホタルルシフェリンルシフェリンにアリル基を付加することにより長波長化することを明らかとしたため、このアリル基導入を用いて様々なルシフェリンアナログを長波長化した。当研究室で所有する近赤外発光ルシフェリンやその他のルシフェリンアナログにアリル基を導入したところいずれのアリル化ルシフェリンアナログでも長波長化する知見を得ることが出来た。近赤外発光ルシフェリンにアリル基を導入したものは700nm近い発光波長を示し、イメージング材料としての可能性を見出すことが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年次計画ではAMP中間体の糖部位改変とリン酸結合部位改変を中心に行っていく予定であったが、輝度向上の可能性の高いリン酸アミド改変体アナログの合成を中心として進めた。この原料である化合物の販売が終了してしまったために、原料の合成から実験を開始したがこの原料合成が困難でありかなりの時間を費やしてしまった。そのため当初予定していた糖部位改変は今年度行うことが出来なかった。 同時に行っていた波長改変についての研究については順調に進み、複数のアリル化ルシフェリンアナログの合成に至った。
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今後の研究の推進方策 |
来年度前半は、今年度行う予定であったAMP中間体の糖部位改変を中心に行っていく。リン酸アミド化AMP中間体の大量合成も達成に至っていないため、合成方法についての検討も行っていく。 アリル化によって長波長化する知見が得られたが、その具体的な理由についてはまだわかってない。これらを明らかにし、さらなる長波長化にすることも目指したい。 後半はこれらのルシフェリンアナログを用いてin vivoイメージング実験を行っていく。
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