研究実績の概要 |
パラシュートにはギャップと呼ばれる隙間が設けられている。通常、ギャップを通過する流体を解像して、計算を行う。この計算では計算量が膨大になるため、これまで非圧縮性流体領域におけるパラシュートに対するhomogenized modeling of geometric porosity (HMGP-FG)と呼ばれる傘部の気体透過モデルが提案されている。本モデルは、流体用の高い解像度のメッシュを使用せずに、パラシュート傘部の布や穴から流出する流速を見積もる。しかし、適用可能範囲は非圧縮流体に限定されており、disk-gap-bandパラシュートやドローグパラシュートのような圧縮性流体領域で使用されるパラシュートには使用できない。そこで、昨年圧縮性流体領域で使用可能な気体透過モデルの構築を行った。この解析では、一般的な有限要素法で用いられる要素間がC0連続の基底関数が使用された。しかし、実際のパラシュート形状は滑らかであり、より現実的な形状を再現するために、本研究では構造・流体解析共に基底関数にnon-uniform rational B-splines (NURBS)を用いた。 今回対象とするドローグパラシュートの航行条件はマッハ数0.3-0.7程度である。そのため、衝撃波が形成されず比較的安定した計算を行うことができる。また、ドローグパラシュートはギャップの数が多いため、気体透過モデルの解析に適している。本研究では、マッハ数を0.3に固定し、高度を10,000, 20,000, 35,000 ftの3条件で解析を行った。複数条件による解析結果から、航行条件によらない気体透過モデルのパラメータを算出した。
|