研究課題/領域番号 |
16J10404
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
安井 勇気 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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キーワード | スピン三重項超伝導 / トポロジカル超伝導 / ルテニウム酸化物 / 半整数量子フラクソイド / 低温物性 / 集束イオンビーム / SQUID振動 / Little-Parks振動 |
研究実績の概要 |
本研究は、スピン三重項超伝導体においてフラクソイドの量子化が通常の半分の単位で生じる現象である半整数量子フラクソイド(HQF)を検出すること、また、その理解を深めることを目的としている。 (1) 半整数量子フラクソイドの観測 : 本研究の第一報となる論文がPhysical Review B誌にて出版された。本論文はライデン大学との国際共著によるものである。この論文では、バルク超伝導体を用いた微小リングの作製技術、微小リングにおけるLittle-Parks振動の観測を報告した。さらには、面内磁場を印加することによって得られた半整数量子状態を示唆する振る舞いについても報告した。また、この成果をアメリカ物理学会にて口頭発表をした。 (2) SQUID振動の出現 : 微小リングを用いた研究をさらに推し進め、同様の物質であっても、ある種類の微小リングでは超伝導量子干渉計(SQUID)振動として知られる超伝導臨界電流の振動が生じることを観測した。上記(1)で得られた結果との対比から、このSQUID振動は超伝導の電子状態に由来する可能性があり、特異な超伝導状態を支持する結果である。この成果について国際会議にて口頭発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題である半整数量子フラクソイドに関する論文が出版された。また、超伝導量子干渉計(SQUID)振動の観測と新たな発見もあった。さらに、国際共同研究を行っているライデン大学に訪問し論文執筆を進めた。ルテニウム酸化物超伝導体の薄膜育成を行っているケンブリッジ大学との共同研究も進行中であり、薄膜育成に用いる試料を提供した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の(2)で得られたSQUID振動の解釈をさらに推し進めるため、超伝導接合を用いた研究を進める。カイラル超伝導状態においては超伝導臨界電流が異常な振る舞いを示すと理論的な指摘があり、この検証を進める。
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