(1)集束イオンビームを用いてルテニウム酸化物超伝導体の微小リングを作製し、この微小デバイスの電流電圧特性を極低温にて測定したところ、臨界電流が磁場によって周期的な振動をすることがわかった。しかし、このような臨界電流の振動は予期されておらず、その原因が超伝導状態にあらわれるドメイン構造によるものではないかと考えた。そこで、アントワープ大学との国際共同研究により、理論的な側面からもこの現象の解明を行った。 (2)カイラル超伝導体を用いてジョセフソン接合を作製することにより、接合が異常な臨界電流の増大をもたらすということが理論的に提言されている。そこで、ルテニウム酸化物超伝導体を用いてこのような接合デバイスを作製するため、くびれ構造を持つデバイス作製を行った。このデバイスについて極低温において電流電圧特性の測定を行うと、期待されていた異常は検出されなかったものの、結晶のab面内方向に外部磁場を印加することによって接合の臨界電流が増加することを発見した。
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