本研究の目的は,言葉や視覚オブジェクトが持つ意味情報を一時的に保持するメカニズム(意味短期記憶)の解明である.今年度の研究実施状況について,1)系列的に呈示された複数の単語の順序の記憶(系列記憶)に関して,「意味情報の順序を保持するメカニズム」が存在するか,またそのメカニズムが音韻情報の順序保持メカニズムと同一であるかについて一連の検証実験を行った.そして,この結果を国際誌に投稿すべく,共同研究者であるエジンバラ大学のRobert Logie教授の元に赴きミーティングと執筆活動を行なった.現在は共同で執筆を進めている.2)意味情報を一時的に保持するメカニズムと音韻情報を一時的に保持するメカニズム(構音リハーサル)が異なることを証明するために,ワーキングメモリトレーニングを利用した実証実験を行った.この実験の計画立案と実行は共同研究者であるチューリッヒ大学のKlaus Oberauer教授の元で行った.現在は実験結果の解析と新たな実験計画を推敲している.
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