研究課題/領域番号 |
16J10667
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
澤田 隼 東京工業大学, 物質理工学院, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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キーワード | ロタキサン / 架橋 / 架橋高分子 / エラストマー / 強靭化 |
研究実績の概要 |
本申請研究では、ロタキサン架橋剤の合成を主軸に、様々なロタキサン架橋構造をもつRCPを合成してその物性を評価し、得られた知見を基に種々のビニルポリマーやゴムにロタキサン架橋を導入し、高性能・高機能架橋高分子の創製を目指す。今年度は、(1) 輪成分の運動性の異なるRCPの合成と物性評価および (2) 低分子ロタキサン架橋剤の合成とそれから得られるRCPの物性について検討した。 1) 輪成分の運動性の異なるRCPの合成と物性評価:輪成分が軸成分上を並進する際の運動性はRCPの物性に大きく影響すると考えられ、その影響を調査するため輪成分の運動性の異なるロタキサン架橋剤を合成した。六員環環状カーボネートは、5位に様々な置換基を導入可能であり、かつ先行研究と同様の条件で開環重合が行えることが報告されている。5位の置換基の嵩高さが異なる種々のモノマーを用いることで、軸成分の嵩高さが異なる、すなわち輪成分の運動性が異なるロタキサン架橋剤を合成した。これらの架橋剤を用いて合成したRCPは軸成分の構造に由来する輪成分の運動性の違いにより生み出されたと考えられる異なる物性を示した。 2) 低分子ロタキサン架橋剤の合成とそれから得られるRCPの物性:いままでに合成したロタキサン架橋剤はすべて高分子のものであった。しかしながら、一般的に異なる種類の高分子鎖どうしは相溶しにくいことが知られており、RCPのマトリックスポリマーと高分子のロタキサン架橋剤についても同様に相溶しにくいことが予想される。そこで、マトリックスポリマー中へより相溶しやすいと考えられる、低分子ロタキサン架橋剤を合成した。得られた架橋剤を用いて合成したRCPは、その可動領域が高分子のものと比べて格段に小さいにも関わらず、より強靭性を示すことが分かった。これにより、架橋剤の相溶性もRCPの強靭化に必要な要素であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の研究実績の概要における(2)に関しては、既に学術論文として発表しており、(1)に関しても投稿の準備をしている段階である。研究の方向性は、若干申請時と異なってきているが、十分な研究成果が得られると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在は、高分子ではなく低分子のロタキサン架橋剤を用いることを中心に考えている。ビニル基だけでなく、エポキシ基など後架橋に用いることができる官能基を有するロタキサン架橋剤の開発を視野に入れている。この際、後架橋法の条件検討なども必要になると考えられる。
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