研究課題/領域番号 |
16J10697
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
WANG YUYU 東京工業大学, 大学院情報理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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キーワード | 電子署名 / 漏洩耐性 / structure-preserving / 改ざん耐性 |
研究実績の概要 |
今年度は、下記の三つの研究を行った。 まずは、漏洩に耐性を持つ署名方式を研究し、その成果を査読付き国際会議SCN 2016で発表した。提案した方式は、非常に広範囲なサイドチャネル攻撃に対して完全漏洩耐性を持つ。より詳細には、制限のない任意の不可逆関数を通した秘密情報をもらえる敵に対して提案方式は安全である。知っている限り、これは、最初の不可逆漏洩に耐性を持つ署名方式である。本方式の変種として、情報理論的に秘密情報を決定する漏洩に耐性を持つ方式も提案した。 そして、暗号理論分野で二つの重要な要素技術structure-preserving signature(SPS)方式とfully structure-preserving signature(FSPS)方式のギャップを埋める研究を行った。より詳細には、SPS方式から FSPS方式に変換できる一般的な構成について研究した。この成果を査読付き国際会議Asiacrypt 2016(暗号理論三大会議の一つ)で発表した。本構成より、 多くのFSPS方式を得た。以前に提案された方式とは異なり、本研究で得た方式の多くは、automorphicという性質を持っている。つまり、署名者が自分の検証鍵に署名することができる。二次的な結果として、得た方式のうちの一つは、今までで最短の検証鍵と署名及び最も低い検証コストを持つ。もう一つは最初のタイプ1の双線形グループでのFSPS方式である。 さらに、ある種の"唯一性"を持つ暗号要素技術の鍵改ざん攻撃に対する安全性を、暗号理論で用いられる標準的な仮定に基づいてブラックボックス帰着により証明することは不可能性であることを示した。この結果を国内会議SCIS 2017で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は、漏洩耐性をもつ署名方式、structure-preservingという性質をもつ署名方式と、鍵改ざんに耐性をもつ暗号要素技術に関する研究を行い、新たな成果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
漏洩モデルで提案された全ての暗号方式のアイディアを深く理解しながら、本年度に提案した漏洩に耐性を署名方式に秘密鍵更新機能を追加する方法を考える。そして、鍵更新機能の追加に成功した際には、署名の偽造困難性を強める一般的な方法を提案する予定である。
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