研究課題/領域番号 |
16J11177
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
片山 祐 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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キーワード | OH吸着挙動 / アンモニア酸化反応 / in situ 赤外分光測定 / 2-プロパノール酸化反応 / 塩基性条件 |
研究実績の概要 |
電極反応過程にOHが関与する反応として、Pt上でのアンモニア酸化反応がある。そこで、アンモニア酸化反応を用いて、反応活性種であるOH吸着種が電極活性に与える影響の解明を試みた。反応活性種となるOH種の供給を促進するため、表面に豊富なOH種が存在していることが知られているCeO2に着目し、そのPt電極上への添加による効果を検討した。CeO2修飾Pt電極においてCeO2上に存在するOH種、さらにPt上に吸脱着するOH種の2つのOHの存在が確認された。また、CeO2修飾Pt電極において、Pt上へのOH吸着が促進されていることが明らかとなった。さらなる検討の結果、Pt上に修飾したCeO2上のOH基が、電解質中のOHイオンや水と相互作用することによって、電極近傍のOHイオン存在量が増加していることが示唆された。これらのCeO2修飾Pt電極上でアンモニア酸化反応を行ったところ、その活性は従来比で30%ほど向上した。これより、酸化物表面上に存在するOH基と溶液中のOHイオン、水との相互作用が、電極上で進行する電気化学反応活性に影響を与えることが明らかとなった。 塩基性条件下でのアルコール酸化反応にもOH種が関与する。しかしながら、その反応機構の詳細が解明されているのは一部のアルコールに限られる。今後OH種の吸着を制御しこれらの反応に応用するためには、目的反応の機構解明も重要である。そこで、アルコールとして2-プロパノールに着目し、Pt上での酸化反応機構の解明も試みた。その結果、初期活性が高いPt電極上では、生成したアセトンがOH種との触媒的な反応を経てエノラート吸着種へと変換され、そのエノラート吸着種が電極被毒種となることが示唆された。今後OH種の吸着量を制御することによって、Pt上でのエノラート吸着種生成を抑制できれば、2-プロパノールの燃料適応性の大幅な向上が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
酸化物添加系の電極触媒については、今年度目標としていた項目をおおむね達成できた。具体的には、酸化物添加触媒において、表面OH基が電極表面近傍のOH、水の構造に与える影響を明らかにした。さらにこれらの構造変化が電極上で進行する酸化反応活性にも影響を与えることを示し、触媒設計への応用も可能となりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は適用電極反応の範囲を広げる。また、in situ 赤外分光測定に加えて、その他のin situ測定法を組み合わせることで、電極上へのOH吸着機構に関してさらなる知見を得る。また、同位体等を用いた測定により、赤外分光測定で得られたピークの帰属をより強固なものとし、今後の分析へと応用する。
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