側所的種分化は、適応放散が姉妹集団間の発散および隔離を促進するときに生じる。 自然界の側所的種分化に関する証拠はまれである。 この研究は、メキシコのDioon属に側所的種分化の証拠を得ることを目的としていた。その目的で、Dioon属の進化、メキシコにおける砂漠形成の歴史、砂漠における適応のための形態的形質の進化との関連性を研究した。 最初に、砂漠拡大に伴ってクレードの多様化が起こったかどうかを評価するためにDioonの系統地理関係を明らかにした。 これは、新生代中のメキシコでDioonの4系統が多様化することを示唆した。これらの結果は、Annals of Botanyに掲載された。 また、Dioonの系統進化と砂漠への生息地移行、砂漠への葉表面の乾燥適応の獲得とその関係を研究した。Dioonの系統発生における生息地の変化は、中新世にメキシコ砂漠の拡大とともに起こったことがわかった。砂漠環境に生息する種は乾燥に強い適応を示すこともわかり、これらは、Annals of Botanyに別の記事として掲載された。Dioonの葉表面の特性とその乾燥適応の研究についても、 Floraに論文が掲載された。 これらの結果は、Dioonの側所的種分化を示唆する進化パターンを示した。そのため、Dioon sonorenseについて、種内レベルでの発散の研究を行った。Dioon sonorenseの北部集団は砂漠にあり、南部集団は森林に生息する。 遺伝的、葉表面の適応、形態学的データは、2つの地理的領域間の明確な区別を示し、周辺の生息地が種分化を引き起こしたことを示唆している。これらの結果はConservation Geneticsに論文としてアクセプトされた。 この研究はDioonの側所的種分化のパターンを明らかにした。 Dioonの進化は、メキシコの砂漠の拡大に関連する生態学的要因によって引き起こされたと思われる。今後、Dioonクレードのゲノムの相違についてのさらなる研究によって、植物の適応の仕組みと進化の経路が明らかになると期待される。
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