研究課題/領域番号 |
16J11969
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研究機関 | 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
堤本 広大 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 予防老年学研究部, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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キーワード | social frailty / 高齢者 |
研究実績の概要 |
日本は孤立傾向にある高齢者の割合がOECD25か国のなかでもっとも高いとされ、国内の高齢社会白書においても社会的孤立の問題が取り上げられている。このような社会とのつながりが減少した状態、いわゆる「social frailty」は、高齢者の健康状態の衰退にも影響を及ぼす。social frailtyを有する高齢者94名を対象にグループワークを通じた社会交流を促進する介入を実施して、「コミュニケーションの量」の増加に対するランダム化比較試験を実施する。 本研究を推進するにあたって、social frailtyを有する高齢者を地域在住高齢者より抽出する必要性があるため、受入研究期間が実施した大規模高齢者機能健診に参加した高齢者283名より、参入基準1) social frailtyを有する、2) 75歳以上の後期高齢者、3) 運動が実施可能な状況にある、4) 進行性の神経疾患を有さないを満たす165名の高齢者に対して、ランダム化比較試験への説明を行った。結果、94名の高齢者より研究参加の同意を得られたため、ランダム化比較試験の事前検査を実施した。それらの結果を以下の表1に示す。両群をランダム化割付した結果、対象者属性および主要変数ついては、有意差は認められなかった。 介入内容は、認知機能維持・向上を目的として、94名をランダムに2群に割り付ける。介入群では、週1回、90分/回のグループワークを実施する。1グループは約10~20人とし、ファシリテーターは申請者および補助員の2名体制で実施する。グループワークの内容は、運動を中心とし、合わせて高齢者サロンのような茶話会を開催して、新たなコミュニティ形成を促進する。対照群には、自身の活動を記録する手帳を配布し、自主的な活動を実施させている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究事情の進捗状況に関しては、おおむね順調に進展していると考えれる。サンプルサイズを計算した結果、必要人数が100名であったが、研究への同意を得られた人数が94名と若干不足している点が一部計画通りに進行できていない点と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究推進の方策としては、前年度から開始しているランダム化比較試験の介入の提供を引き続き実施することが主な研究事業である。全44回(週1回90分)の介入のうち、平成28年度時点で19回分が終了し、平成29年度においては25回分を実施予定である。介入期間終了と同時に事後検査として、事前検査と同様の検査を実施し、介入効果の検証を実施していく予定である。なお、介入期間終了後、介入グループについては自主グループ化を促進し、継続的な活動を促し、それらの活動がその後の健康問題発生とどのように関連しているのかを縦断的に観察調査を実施する予定である。
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