研究課題/領域番号 |
16J11975
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
西尾 晃 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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キーワード | ミュオグラフィ / 火山 / 原子核乾板 / 桜島 / 樽前山 |
研究実績の概要 |
検出器の性能向上に関しては、高解像度なイメージングのためには、長期間・大口径検出器による観測が必要であり、平成28年度は長期間観測の実現のための検出器開発に取り組んだ。具体的には、原子核乾板検出器の検出素子と言える臭化銀結晶のサイズを大きくすることで、感度の向上と長期間特性の改善に成功した。また原子核乾板製造環境を整備し、定常的な原子核乾板製造体制を確立することができた。2015年10月~2016年10月の1年間では100平米の原子核乾板製造を実際に行った。 火山のミュオグラフィ観測に関しては、2015年に観測を実施した桜島火山のデータの解析を進展させた。バックグラウンド成分とシグナルの比率を求めた結果、山体の厚み500mの箇所ではSignal : Noise = 1 : 10、山体の厚み2000mの箇所ではSignal : Noise = 1 : 100 程度であった。 2016年12月から、北海道の樽前火山に原子核乾板検出器を設置した。この検出器は原子核乾板と鉛の積層構造(ECC)からなっており、バックグラウンド成分の同定が可能である。2017年5月まで観測を行った後、バックグラウンド理解のための解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
原子核乾板の特徴を生かした大口径での火山観測実現に向けて活動してきた。火山関係の学会にも積極的に参加し、より多くの情報を得るよう努めた。また2016年12月には実際に北海道の樽前火山において試験的なミュオグラフィ観測を開始することができた。
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今後の研究の推進方策 |
樽前山に設置した原子核乾板と鉛の積層構造(ECC)の検出器の解析を進める。これは設置場所や山体の厚みと、バックグラウンド成分量との関係を定量的に見積もることを目的としている。バックグラウンド量を定量化した後、バックグラウンドを除去するのに最適な検出器構造を用いて、火山内部構造のイメージングを目的としたミュオグラフィ観測を実施する。まずは観測する対象や観測地点などの具体的な内容の検討を行う。
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