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2017 年度 実績報告書

大口径検出器を用いた超高解像ミュオグラフィによる火山噴火メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 16J11975
研究機関名古屋大学

研究代表者

西尾 晃  名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2016-04-22 – 2019-03-31
キーワードミュオグラフィ / 火山 / 原子核乾板
研究実績の概要

今年度はいくつかの火山を対象に1-10平米規模の口径面積をもつ原子核乾板検出器を用いたミュオグラフィ観測を開始した。具体的には樽前火山、ストロンボリ火山、ウェスピオ火山での観測を行っている。(ストロンボリ火山、ウェスピオ火山は東京大学地震研との共同研究)。
他分野への応用としては、エジプトのクフ王のピラミッドにおいて、ミュオグラフィを用いた内部構造探査を推進してきた。2017年11月にはクフ王のピラミッド内部に長さ30m超の巨大な空間があることをミュオグラフィにより明らかにし、内容を論文としてNature誌に投稿した。来年度以降は多地点観測により、今回見つかった空間の3次元構造を詳細に明らかにすることを目指していく。
検出器開発についても進展があった。火山やピラミッドでのミュオグラフィ観測では、高温の環境下においても検出器が長期間安定的に動作することが必要であり、原子核乾板検出器では記録されたミューオンの飛跡が時間とともに消去されていく「潜像退行」とよばれる現象が問題となる。我々は原子核乾板の長期間特性を改善するための研究を、名古屋大学の原子核乳剤製造装置を使用して行なってきた。今年度の研究で、新たに潜像退行を促進していた化学物質を特定することに成功した。この化学物質を取り除くことにより、潜像退行の顕著な改善がみられた。この成果は写真学会等で報告した。現在特性改善した原子核乾板検出器を実際のミュオグラフィ観測で使用を始めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

検出器開発の基礎的な部分で大きな進展があった。また原子核乾板をもちいたミュオグラフィによる火山観測対象も、樽前山、ウェスピオ火山(イタリア)、ストロンボリ火山(イタリア)と複数に展開できた。さらにミュオグラフィの別分野の応用としてはエジプトのクフ王のピラミッドでの大きな成果もあった。

今後の研究の推進方策

来年度以降は、現在展開中および展開予定のミュオグラフィ観測について、解析を行う。
又その結果を博士論文および投稿論文としてまとめる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Discovery of a big void in Khufu’s Pyramid by observation of cosmic-ray muons2017

    • 著者名/発表者名
      Morishima Kunihiro、Kuno Mitsuaki、Nishio Akira、Kitagawa Nobuko、Manabe Yuta、Moto Masaki, et al.
    • 雑誌名

      nature

      巻: 552 ページ: 386~390

    • DOI

      10.1038/nature24647

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 宇宙線ラジオグラフィのための原子核乾板の長期特性の改善2018

    • 著者名/発表者名
      西尾晃 他
    • 学会等名
      日本物理学会年次大会
  • [学会発表] 長期間特性に優れた原子核乾板検出器の開発2018

    • 著者名/発表者名
      西尾晃 他
    • 学会等名
      応用物理学会
  • [学会発表] Large Crystal Nuclear Emulsion for Cosmic-ray radiography2017

    • 著者名/発表者名
      Akira NISHIO et al.
    • 学会等名
      ICMaSS2017
  • [学会発表] 大粒子原子核乾板の開発2017

    • 著者名/発表者名
      西尾晃 他
    • 学会等名
      日本写真学会年次大会

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公開日: 2018-12-17  

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