研究課題
パーキンソン病(PD)は異常タンパク質蓄積を伴う神経細胞死を特徴とする神経変性疾患であり、治療標的としてタンパク質分解系の一つであるオートファジーが着目されている。本研究ではオートファジー促進剤として、生体内化合物のポリアミンに着目し、そのオートファジー誘導機構の解析を行った。オートファジーにはリソソーム機能だけでなく、リソソームの細胞内分布が重要であることが近年明らかになっているが、我々はポリアミンがリソソームを核近傍に移動させる活性を有することを見出した。さらにノックダウン実験により、リソソーム分布変化に関わるアセチルトランスフェラーゼを2種を同定し、リソソーム分布変化に関わる一連のシグナルを明らかにした。来年度は本結果をもとに、より詳細な機構解析を進める予定である。ポリアミンを元により活性の強い新規PD治療薬を取得するため、ポリアミン誘導体のオートファジー誘導活性を評価した。購入可能なポリアミン類縁化合物12種のオートファジー誘導活性とリソソーム分布制御活性を評価した結果、スペルミン、スペルミジン以外の3化合物にオートファジー誘導/リソソーム分布制御活性を見出したが、スペルミン、スペルミジン以上の活性を示すものは得られなかった。本解析により、オートファジー誘導活性/リソソーム分布制御活性に必要な構造を特定したため、今後は本情報を元に化合物を合成展開し、より強い活性化合物を同定する予定である。
2: おおむね順調に進展している
ポリアミンのオートファジー誘導機構として、リソソーム分布変化とタンパク質アセチル化の関与を証明できたため、概ね順調に進展しているといえる。
今後はリソソーム分布制御に関わるアセチル化基質タンパク質を質量分析等を用いて同定し、同タンパク質機能をRNAi等により検証する予定である。またアセチル化部位を特定し変異体等の過剰発現によりアセチル化とリソソーム分布との関連を明らかにする。
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