研究課題
子宮内で手足を活発に動かす胎児の動きを母親は胎動として感じる。胎児は母体を離れ外界に出たあと、手足を動かし母親を捜し、乳を飲み始める。このような運動機能の発達には、脊髄に局在する抑制性伝達物質であるGABAやグリシンが重要な役割を果たしている。しかし、胎動を含め、母親を捜し、乳を飲むなど生存に必須な運動機能の発達過程に、GABA及びグリシンシナプス形成やその抑制性がどのように関与しているのか不明な点が多い。そこで、運動の出力を担う脊髄における抑制性GABA及びグリシンシナプスの形成と運動機能の発達との関連を解明することを本研究の目的とした。平成28年1月に、抑制性GABA及びグリシンシナプス形成過程についての研究成果をNeuroscience誌に発表した。運動出力を担う前角において、GABAの生合成酵素であるGADは胎齢14日には既に発現していた。GlyT2免疫陽性反応(グリシン作動性終末)は遅れて胎齢16日に発現した。生後7日齢まではGAD陽性終末が優位で、GlyT2は共存していた。しかし、2 週目以降GABA作動性終末は急激に消退し、グリシン作動性終末が優位となった。この結果から、前角に局在する運動神経細胞に対し電気生理学的な手法を用い、GABA及びグリシンの放出について調べた。胎齢14日から少なくともGABAの放出が優位であり、生後14日では、グリシン放出が優位となると考えられ、その間は、GABAとグリシンの共放出が見られると考えた。この手法を行うに必須であるアンプが、不調で困難を感じたが、新たに購入しセットアップを完了した。現在、順調に作動することを確認している。平成29年9月より、琉球大学分子解剖学講座の准教授を拝命することとなり、平成29年8月31日に日本学術振興会特別研究員(RPD)を辞職することとなったが、今後も本研究は遂行していく予定としている。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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