口腔領域の悪性腫瘍に対して、PETイメージングの手法を用いて治療効果予測を行う。PETイメージングでは、従来から研究を続けている18F-FAMTを用いたアミノ酸イメージングと新たに研究を進める予定である。その他、考察の一助として18F-FE5を用いた低酸素イメージングも検討している。腫瘍の種類や発生部位・増殖速度などの要因により、腫瘍の存在する微小環境は多様であるため、新生血管の形成やブドウ糖・アミノ酸などの代謝が異なるはずである。また、正常な細胞であれば発育に必須である酸素の供給が乏しく、低酸素の状況下にある環境も存在する。低酸素環境をイメージングした上で、アミノ酸代謝の情報を得ることで、低酸素環境と十分な酸素の存在する環境とで、アミノ酸代謝の変化を観察することができる。細胞・動物実験から、実際の臨床でのイメージングまで、広い範囲で研究を進めることを目標としてきた。 これまで、Turku大学(フィンランド)のBio Bankより提供を受けた癌細胞(ヒト頭頸部癌、乳癌および前立腺癌)を用い、Western blot analysisを用いたアミノ酸トランスポーター発現と、γカウンタを用いた放射能の相関について調査し、in vitro実験を通して癌細胞の代謝と低酸素環境の影響について研究を進めてきた。 これまでの実験データを基盤とした臨床研究への応用へむけ準備を整える。将来的にこれら代謝イメージングを治療前に行うことで、手術・化学療法・放射線療法といった集学的治療に対して、個々の患者に最も適した治療を行えるような情報を提供することを目標とする。
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