研究課題
我が国において乳がんは女性で最も罹患数が高いがんであり、今後も患者数や死亡者数の増加が懸念されている。近年の研究により、正常幹細胞と同様に自己複製し、非対称性分裂により分化する特徴を持つ、がん幹細胞とよばれる少数の細胞集団が、腫瘍の発生や転移、再発の原因であると考えられている。本研究では、がん幹細胞を腫瘍細胞のヒエラルキーの頂点としたがん組織の多様性・可塑性の実態の解明を目的とする。具体的には、すでに収集済みの乳がん臨床検体2例(トリプルネガティブタイプ)について、我々が発見した新規乳がん幹細胞様細胞マーカーであるNeuropilin1 (NP1)が陽性の分画(乳がん幹細胞濃縮群)と陰性分画(コントロール群) をFlow cytometryにて各々分取し、Fluidigm C1 single cell-prep systemにより単一細胞を回収した。回収した細胞より抽出したRNAからタグ付けした断片化cDNAライブラリーを作製し、次世代シーケンサーで解析した。結果、NP1陽性と陰性で分散が異なる遺伝子群についてNP1陽性群のほうに従来のがん幹細胞に関わる遺伝子群と神経軸索伸長に関与する遺伝子群が非常に濃縮することが明らかになった。NP1陽性細胞群の中から高発現している遺伝子を数個選び、qPCRを用いて発現を確認することにより、がん幹細胞の維持に関与すると予測される新規の分子標的候補を同定した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Proceedings of the National Academy of Sciences USA
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