研究課題
本研究では「アルゴリズムの統一的設計法」の確立を目的とする。様々な実用上の問題は、グラフに関する組合せ最適化問題として定式化できるが、それら多くの問題は一般のグラフに対してはNP困難である。そこで、グラフのクラスをある程度制限することで、効率のよいアルゴリズムの開発が行われてきた。これらのアルゴリズムはグラフの構造を上手く利用することで得られているが、このアプローチにはグラフ理論に関する深い知識を必要とする。したがって、よりアルゴリズム設計者に親和なアルゴリズム設計論の確立・体系化が求められていた。本研究では、グラフアルゴリズム理論の観点から「解くことができるインスタンス条件とその利用法」の解明をすることが研究目的であった。研究実施計画通りに研究を進めてきた。本研究で得られた成果として、グラフ特に木や木幅が小さいグラフに関する理論的な展開とアルゴリズムの効率化があげられる。木幅というのはグラフを木分解する際、分解木の節点に含まれるグラフの点の数の最大値から1を引いた値である。木幅1のグラフは林であり、木幅2のグラフは直並列グラフである。特に木に対しては、グラフの分割と巧みな動的計画法を導入して、the partial vertex cover problem や the ridesharing problem を多項式時間で解くアルゴリズムを研究開発することに成功した。また、コグラフにおいて、分解木を用いて被覆辺数をパラメータとしたときのFPTアルゴリズムを開発することにも成功した。特に本研究で開発したアルゴリズムは、木やコグラフにおける数多くの組合せ問題に適用可能と思い、効率よいアルゴリズム、多項式時間アルゴリズム、FPTアルゴリズムの開発に役に立つと思っている。最終年度で得られた成果をまとめた5編の学術論文や国際会議論文を発表しており、高く評価できる。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件)
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