研究課題/領域番号 |
16K00005
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
福田 素久 山形大学, 理学部, 准教授 (70771161)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 量子情報 / ガウス状態 / ランダム行列 / Weingarten Calculus / Mathematica / Pyhton |
研究実績の概要 |
研究目的の一つである「量子ガウス通信路の非加法性」に関する国際共同研究(Robert Koenig, Technical University of Munich)は "Typical entanglement for Gaussian states", arXiv:1903.04126 [quant-ph] としてまとめられた。当初の目的と多少異なるが、ガウス純粋状態が典型的に部分空間でどのようにふるまうかについて、ランダム行列と測度集中の手法を使って明らかにした。光子の振る舞いを記述するボソン系の純粋ガウス状態をHaar測度を持つユニタリ行列によってランダムに定義し、典型的にはサブシステムのガウス状態は同じエネルギーを持つ熱状態に近く、そのエントロピーも測度集中することを示した。この研究にはランダム行列の4次モーメントの計算が必要であったが、Weingarten Calsulusを使うと576個の項を処理することになる。このようなランダムユニタリ行列を含んだ多項式(テンソル系も含む)の平均の計算を処理するアルゴリズムも開発した "RTNI - A symbolic integrator for Haar-random tensor networks", arXiv:1902.08539 [quant-ph]。アルゴリズムは Mathematica と Python それぞれに対応し、研究にはIon Nechita (Laboratoire de Physique Theorique de Toulouse)も参加した。このプログラムはランダムな高次元のユニタリ行列の多項式を抽象的に計算することを目的にしており、Mathematicaが行う具体的な低次元のランダム行列の計算とは異なっており、今後の応用が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究目的の一つである「最適な入力量子状態」の研究は、メアンダー問題の未解決問題との関連がみられ、完全な解決は難しい。
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今後の研究の推進方策 |
上記の「最適な入力量子状態」の研究とメアンダー問題との関連は Ion Nechita との共同研究で明らかにしてその成果をまとめる。また、コリンズブノワ(京都大学)と長谷部高広(北海道大学)との共同研究において、自由確率の量子通信路への応用に関する結果をまとめる。さらに、上記のプログラムRTNIの改良も試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
業務多忙にて、研究協力者の長谷部高広(北海道大学)とIon Nechita(トゥールーズ物理学研究所)の訪問日程の調整が困難だったことによる。今後はソウルでの国際学会へ航空券代、フランスと北海道への出張費に使用予定。
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