量子通信路の非加法性によって、シャノンの通信理論が量子通信に自然に拡張できない。この非加法性は、M.Hastingsがランダムに生成された量子通信路を用いて示した(2009年出版)。本研究では、ランダム行列、自由確率、測度収束の理論を用いて、同様の量子通信路に関して典型的な性質への理解を深め、非加法性を示す新たな量子通信路のクラスも見つけた。また、ランダムなユニタリ行列の抽象的計算プログラムを開発し、それを用いて量子ガウス状態の最大エントロピー原理に関係する統計物理的結果も得た。さらに、メアンダー問題との組み合わせ論的な繋がりを明らかにし、メアンダー多項式の母関数の定式化への部分的結果を得た。
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