研究実績の概要 |
n変数の関数f(x1,x2,...,xn)に対して,素子数nの3乗の回路を設計したとする.はたして,良い回路が設計できたかどうかは,どのように評価すれば良いだろうか.たとえば,任意の微小な定数ε>0に対して,素子数nの(3-ε)乗の如何なる回路でも関数fは計算できないといった最適性が,理論的に証明できればいいのだが,その証明は非常に難しいことが知られている.さらに言えば,任意の有理数r>1に対して,素子数nのr乗の回路で計算できるが,素子数nの(rーε)乗の回路では計算できないという具体的な関数fが実際に存在するか否かさえも分かっていないのである.本研究の目的は,問題を解くのに必要となる計算時間や記憶領域量などの計算資源量に基づく計算複雑性クラスの間の包含関係や,クラス間の階層性を明らかにすることである. 2020年度は,3つの組合せ問題について,それらの計算複雑性を調査した.その結果,Nurimisaki, Sashigane問題のNP困難性を証明した.また,直交多角形に対して矩形視界に基づいた多種警備員配置問題の解法アルゴリズムと計算複雑さを解明できた.これらの結果は,シンガポール国立大学でオンライン開催された国際会議14th International Conference and Workshop on Algorithms and Computationと国際ジャーナルIEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciencesに採択された.
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