研究課題/領域番号 |
16K00026
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研究機関 | 大阪電気通信大学 |
研究代表者 |
梅尾 博司 大阪電気通信大学, 情報通信工学部, 教授 (80132356)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | セルオートマトン / 同期アルゴリズム / FSSP / Synchronization |
研究実績の概要 |
本研究は,申請者がこれまで開発・蓄積してきた様々なタイプの同期アルゴリズムをベースとしてそれらを拡張し,様々な非正則計算環境下でも動作する全く新しいタイプの同期アルゴリズムを開発し,Natural Computing環境,非正則超細粒度並列計算機構への応用を目指すものである. 初年度は,次の4点に焦点を絞り研究を進めるとともに,6件の査読付き論文,国際会議議事録の執筆を行った.さらに2件の論文を投稿中である.一般的なセルオートマトンでは,単一グローバル・クロックによる潜在的な制御下のもとに,すべてのセルが一斉に状態を更新(synchronous updating)している. 複数のupdating cycleを持つ2次元アレイ並びにより高次元のセルオートマトンに対して,FSSP解の存在を示し,上記の仮定を緩和した.本結果は,4th International Symp. on Computing and Networkingにて発表された. Umeo[1994]による耐故障性を有するFSSP解アルゴリズムが, 164状態,4792個のルールを保持するセルオートマトン上で実現可能なことを明らかにし,国際会議NOLTA 2016にて研究発表がなされた.さらに,従来から知られている3nステップFSSPアルゴリズムを内部状態数,ルール数,状態変化計算量,一般化などの観点から整理・統合し,Advances in Unconventional Computing の第20章としてまとめる. 最後に,最小状態変化計算量を持ち,最適時間で動作する一般化FSSPアルゴリズムのクラスを示し,国際会議ACRI 2016にて発表する.関連するセルオートマトンに関する研究として実時間数列生成のアルゴリズムに関する研究も行い,論文としてまとめる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度は,当該研究を集中的に進めるとともに,6件の査読付き論文,国際会議議事録の執筆を行った.さらに2件の論文を投稿中である.具体的には次の6件の論文発表がなされ,投稿中のものも含めると,申請者の判断として当初の計画以上に進展しているものと考えられる. 一般的なセルオートマトンでは,単一グローバル・クロックによる潜在的な制御下のもとに,すべてのセルが一斉に状態を更新(synchronous updating)している. 複数のupdating cycleを持つ2次元アレイ並びにより高次元のセルオートマトンに対して,FSSP解の存在を示し,上記の仮定を緩和した.本結果は,4th International Symp. on Computing and Networkingにて発表された. Umeo[1994]による耐故障性を有するFSSP解アルゴリズムが, 164状態,4792個のルールを保持するセルオートマトン上で実現可能なことを明らかにし,国際会議NOLTA 2016にて研究発表がなされた.さらに,従来から知られている3nステップFSSPアルゴリズムを内部状態数,ルール数,状態変化計算量,一般化などの観点から整理・統合し,Advances in Unconventional Computingとしてまとめる. 最後に,最適時間で動作する一般化FSSPアルゴリズムのクラスを示し,国際会議ACRI 2016にて発表する.関連するセルオートマトンに関する研究として実時間数列生成のアルゴリズムに関する研究も行い,論文としてまとめる.
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今後の研究の推進方策 |
状態変化計算量はFSSPアルゴリズムの性能評価の重要な指標である.従来から知られているFSSPアルゴリズムの状態変化計算量を解析するとともに,多次元アレイへの拡張を試みる. 次に,4状態部分解の完全解明を行う.申請者は2のべき乗以外にも,39種の対称型,132種の非対称型FSSP解の存在を確認している.本研究では,これらの未発表の成果をより正確なものとして公表するとともに,リングのみならず,2次元アレイ,多次元アレイさらに1-bitセルオートマトン,非正則セルオートマトンにも拡張し,4状態部分解の完全解明を目指す.それら一部分は2017年6月,9月に開催される国際会議Automata 2017並びにPaCT2017で研究発表がなされる予定である. 動的な故障発生を伴う1次元セル空間上でFSSP解を設計し,2次元,3次元アレイへの拡張を探求する.さらに,任意形状を持つ2次元アレイのFSSP解の設計と実装を試みる.従来から知られている数多くの多次元FSSP解では,同期すべきセル空間の形状は正方形,長方形,直方体など極めて規則的で単純な形状を仮定している.本研究では,2次元平面に拡がった任意の形状を持つ連結パターンの同期化を実現するアルゴリズムを開発する.3次元アレイ上でも同様な拡張を試みる.凸包形状を持つ任意の多次元空間は6状態で同期可能であることは確認済みであり,様々な非正則形状の空間に対しても同様な結果が期待される. 最後に,指数関数的に増加するセル空間の分割手法に基づいた新しいFSSPアルゴリズムを設計する.1 Bit通信セルオートマトンによるFSSP解の実現にも今年度後半には,集中的に取り組む予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
2016年度の終期に多数の結果が急速に明らかになり,そのための論文投稿費用,別刷り代金,さらに海外での国際会議での研究発表回数が当初の予想よりも多くなり,これらら関わる研究遂行のための費用として2017年度に計上している.
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次年度使用額の使用計画 |
国際論文誌 Applied Mathematics and Computation並びに Natural Computingに投稿中の論文掲載料,2017年 6月 Italy,Milano Univ. にて開催される国際会議AUTOMATA2017にて研究発表,同研究機関にて共同研究,2017年 9月 Russia,Niznij Novgorodo Univ. にて開催される国際会議PaCT2017にて研究発表,共同研究を行うために使用する.
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