本研究では、保険数理の1分野である破産理論について、最適配当境界の統計的推測理論を構築した。保険者のサープラスは、初期資本・保険料収入・保険金支払の3つの要因でモデル化される。古典的にはCramer-Lundbergモデルがあり、近年ではそれを拡張したLevy保険モデルが主に扱われている。最適配当境界とは、このサープラスに関する閾値であり、ある損失関数を最小化するような閾値として定義される。本研究では、この最適配当境界を統計的に推定する手法を提案した。Levy保険モデルにしたがう場合の推定量の一致性および漸近正規性を導出し、シミュレーションにより、提案手法の有用性を確認することができた。
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